Wikiwで調べると葛城文子は、1871年に生まれ、1945年に亡くなっている。
この映画に出演したときは70歳であった。彼女の逝去は其の4年後になる。
私は掲題の映画の葛城恵子に惹かれる。なぜだろうか?
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私は世評高い『東京物語』は好かない。説教臭いからだ。
或る映画マニアが以下のようなことをネットに書いていた。いわく、
『東京物語の、あの長男、長女を見て我慢がならんぞ、と思った人は戸田家の兄妹を見てスッキリしてください』と。上手いコメントだと私は大いに愉快になった。
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『戸田家の兄妹』は、私が子供の頃観た映画『鞍馬天狗』等、あるいは少年雑誌に掲載されていた懐かしき漫画同様に、単純明快な勧善懲悪の映画である。
そこには東京物語の人生の晦渋さはなく、勧善懲悪の明快がある。私が此の映画を好む所以は其処にある。
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私が葛城文子に惹かれる理由の一つは其のあたりにある。
即ち、子供たちに「たらい回し」される母親の寂寞さは、東山千栄子より葛城文子は遥かに少ないと言えるし、また息子たる佐分利信の大活躍によって葛城文子はハッピーエンドとなる。
私が葛城文子に惹かれるのは、彼女に約束された老後の幸せ故なのだ。
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私が葛城文子に惹かれる理由は其れだけではない。上に書いたのは映画の話だが、私の現実の此の世における母方の「おばぁちゃん」を、私は葛城文子に重ねて見てしまうのだ。我が人生を顧みて、私が無垢に懐いたのは此の「おばぁちゃん」だった。
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人は大人になるにつれて此の無垢さを失っていく。
この無垢さが如何に貴重なものであったか、私は馬齢を重ねるうちに痛切に感ずるにようになっている。
私の幼き日の此の「おばぁちゃん」が『戸田家の兄妹』の葛城文子に他ならないのだ。
ps. 『戸田家の兄妹』の佐分利信は、私の最も好きな映画の役どころの一つだ。