2016年10月9日日曜日

β君への手紙

久しぶりだね。気がついてみたら、今年は、あと三カ月も満たない。

それまでオレは何してたんだろう、と思う。

初春の頃からオレは季節というものを全く失っていた。

雨戸を締め切り、カーテンも閉め、一匹の猫と一緒に、ひたすらオレの部屋に閉じこもっていた。
そして時計の針の動きばかりを見つめてイライラしていた。

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今朝、初めて雨戸をあけ、カーテンを引いて外の景色を眺めた。

まるで、オズの魔法使いのドロシーのように、見慣れたモノたちが、オレの目にとびこんできた。

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何年か前、庭に植えた柿の木には実をつけていたし、スモーク・ツリーは、「やあ、やっと目が覚めましたね」と、オレに語りかけてきた。

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「ものごと」が、やっと、動き始めたような気がする。

でも、当分の間は、オレは、やはり「ミノムシ」の習慣を続けるだろう。
「慣性の法則」っていうヤツさ。

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カーテンを開いた空は、あいにく冷たい雨が降っていて、空はドンヨリと曇っている。まるで、今までのオレの、これまでの心象の残像のように。

しかし、そのうち晴れてくるだろう。

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ふと、オレは思い出した。誰が作ったのか知らないが、

行く秋や歳をたずねる人ありき

遠き日や夢の中なる柿の家

行く秋やあなたこなたの山の色

秋の夢河原の上は花もなし

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いま、とつぜん花火の音がした。
どこかで、なにかの催しを、してるんだろう。




では、またーーー