私は、いわゆる職人気質という気質が好きだ。当今風に言えばエンジニア気質とも言えるだろう。
その気質は、己の技に己が納得するまで拘泥し続ける。他人の評価なども気にしない自己満足への追及者で、一種のオタクと言ってもよい。私はそういう人が好きだ。
こういう人は、己の技の対象以外には目もくれない。「人間性」と言った空疎になりがちなモノにも一切関心はない。ただ己の技のみに徹底的にこだわる。
では科学者とはどういう人たちか? 上に書いた職人(技能者orエンジニアorオタク)とは、ちょっと違うように私は思っている。
科学者なる人たちは、単に職人であっては困るな、と私は思っている。
科学者の定義を此処でキチントしなければ話が曖昧になるが、ここでは、社会的に影響を及ぼすような仕事をしている理工系の人たちとでもしておこう。
このような人たちは、その仕事の結果が社会に影響を及ぼすわけだから、自己満足なオタクだけであっては、困ると私は思っている。
つまり自己の技のみ拘泥しているだけでは困る。何故なら其の技が他人(即ち社会)に影響を与えるのだから。
このような理工系の人たちには、彼等の「技」以外のモノにも理解してもらわなければならない。そのようなモノが、教養と呼ばれるべきモノだ。では、そのような教養とは何か?
要するに其のような教養とは、『人の悲しみや喜びや苦悩とも呼ばれる人間としての感情』を理解できる能力をもっていることだと私は思う。
職人は結果として其のような教養をもつことは必ずしも必須ではないが、科学者には必須な能力だ。
科学者に必須なことは、技、知識、業績等よりも何よりも、人の心情を理解する能力である、と私は思っている。