半世紀程前、NECが運営するパソコン通信・PC-VAN・・・懐かしい言葉だ・・・があった。その中のサービスに電子掲示板があった。そして此のサイトで言うところのコミュニィティが種々あって、「BOOKS」も其の一つであった。たぶん、このサイトでもご存知な方も多いだろう。
当時、私は此の「BOOKS」に盛んに書き込みをしていたものだが、その書き込みの常連にモリヤマというHNの方がおられた。察するに此の方は私よりも年配の方で、現在ご健在ならば90代であろうかと思う。
この方の書き込み記事の数は少なかったが、しかし其の記事には表に直接には表われない文芸関連の造詣の深さがチラチラと窺い知れたものだった。
この方は或る同人誌を主催されているということを後日私は知って、なるほどそうかと合点したものだった。
あるとき、なんのハズミだったか、この方が其の同人誌の会員の詩を紹介されたことがあった。確か女性の会員の方の詩の断片だったが、その詩を私は今でも忘れられない。
以下の内容の詩だった。
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「私」がサザエさん宅を訪問する。(なんの用事だったかは其の詩には書かれていなかったと記憶している) ところが生憎サザエさんは不在であったので「私」は帰宅するのだが、その途中、サザエさんが追いかけてきて、夕日を背景に、「また、いらしてください」と私に呼びかける・・・
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そんな内容の詩だった。私は此の詩を大変興味深く感じたものだった。
サザエさんという、よく知られた架空の人物を登場させたところも面白く、或る年代の人々にとっては、アニメではない漫画サザエさんは何らかの思い入れがあるはずであり・・・それは私の場合は郷愁であるのだが・・・、それが巧みに詩という文芸に取り組まれていることに私は斬新さを感じたものだ。この詩のタイトルは私の記憶違いでなければ『花冷え』だった。
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私がPC-VANから離れた後でも、この詩を忘れることはなかった。もう一度此の詩の全容を知りたくて、何度もネットで検索したものだったが発見できなかった。その頃はモリヤマさんとの交流も途絶えていたからだ。
思えば現代詩人・山本陽子の存在も、モリヤマさんから教えられたものだった。
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先に書いたように、アニメではない漫画・サザエさんには、私の場合、或る郷愁がある。サザエさんには映画『男はつらいよ』がそうであるように、期せずして、時代の流れというものが背景に写しとられている。各人の、其の人だけしかない個人史が、『サザエさん』なり『男はつらいよ』には刻みこまれているのだ。
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というわけで、私は我が町の図書館から漫画・サザエさんを借りることにした。全巻30冊程度あるのだが少しずつ見てみようと思っている。
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ところでモリヤマさんは現在健在だろうか・・・