私の、或る電気製造会社の入社後、確か数年後だと記憶しているが、今から半世紀以上昔の話だ。だから以下に書くことは昔話だと思ってもらってもよい。
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当時の通産省の委託だと記憶しているが、医療機器の安全性に関する研究が、上に書いた電気製造会社に任された。
そこで私が、電気メスによる火傷を防止する研究をすることになった。というより、させられた。電気メスによる火傷は当時、大きな問題だった。
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その研究にはテーマが二つあった。一つは上に書いたように、火傷を防止する方法の検討。もう一つは、電気メス機器のトランジスタ化だった。
一つ目の防止方法としては、専門的になるから詳細な説明は省略するが (というより私自身、細かいことは忘れてしまっているのだが)、電気メスによって手術をうける人体を、アースと直結するか、あるいはアースと絶縁するか、いずれが良いかという問題だった。
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そもそも、電気メスによる火傷は、電気メスから出力される電流が、人体に装着された対極板に吸収されずに、対極板以外の人体から漏れてしまうことによって発生する。
対極板が人体に完全に密着していれば火傷は発生しない。そのためには、どのようにすればよいか、が検討課題となった。
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この日記は、電気メスの解説ではないから、私が此の研究で味わされた、いわば裏話をする。
その一つが人体の抵抗 (通常50オームとされていた) を知ることであった。
私は其の値を調べるために、確か、会社が休日の日に、直流電圧器と直流電流計を我が家 (その頃は家内の実家だったが)、私自身と家内を使って人体実験することだった。
但し、電気メスは高周波電量が使用されるが、我が家での人体実験では直流電流で計ることにした。人体抵抗の概略値でも知りたかったからだ。
人体実験の方法は、片腕に近接に分離された二つの銅板を貼りつけ、直流電圧器出力→銅板→片腕→銅板→直流電流計→直流電圧器出力の経路で人体抵抗を計ったわけだ。
直流電圧器の出力電圧を、安全と思われる程度に徐々にあげていき、その都度の電流を計り、抵抗値を調べた。詳しい値は忘れたが確か、50オーム程度の値が得られたと記憶しているが今や定かではない。
それよりも、なによりも、現在の私の左腕には、その時の人体実験での跡が消えずに今でも残っている。一種の「あざ」のようになっている。家内にも実験させたが、そのような跡はないようだ。
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今から思えば、無茶なことをしたなと苦笑せざるを得ない。