2016年7月13日水曜日
或るドイツ語の先生の思い出
私に記事に、私が大学一年生のとき、ドイツ語を習った若い女性の教師について書いた。
この先生は私が習った頃は、たぶん、二十代後半頃ではないかと推測する。小柄な、しかし、初々しい先生だった。未だ独身だったろうと、これまた推測する。
***
その先生の名前は今でも私は覚えているが、ここに書くのは、さし控える。
この先生は後年、確か教育関連で著名になった方だ。
しかし、私が習った頃は、大学のドイツ語の講師ではなかったろうか。
***
以下はドイツ語の授業のときでの話。
日本語で、名前を「###ちゃん」て言うことがあるが、この「ちゃん」に相当するドイツ語は何て言うか、という授業のときだった。
私は今や其れは忘れてしまったが、うろ覚えだが、たしか「###チェン」とか発音したような気がする。
***
その若い女性の先生の名前 (苗字ではない) を仮に、###とする。
上に書いた授業のとき、「ちゃん」に相当するドイツ語の説明を先生がした直後、生徒の誰かが大きな声で、『「###チェン』と叫んだ。
そしたら先生は、真っ赤になって言ったものだ。
『一体、どこで、そんなこと、調べたの?! 』
***
森鴎外に『安井夫人』という佳品がある。この作品で、後に安井夫人になる若き処女の娘が、ためらいがちに自身の想いを『耳を赤くしながら』告白する箇所がある。
***
上に書いたドイツ語の若い女性の先生も、まさに、耳まで赤くしながら、顔を赤くしたものだった。
***
私は鴎外の『安井夫人』を読むたびに、この若いドイツ語の先生の、そのときの赤面を懐かしく思い出す。
以前、ふと懐かくなって、インターネットで、この先生の名前を検索したら、この先生は、今や、或る大学の名誉教授になっていた。