私は落語が特に好きでもないし詳しくもない。
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私が大学2年生のとき家庭教師のアルバイトをしたことがある。
今でも覚えていることだが、バイトの初日、初顔合わせということで、そのアルバイト先の家でちょっとした歓迎のご馳走をしてくれた。そこで話が大学のサークル (同好会) のことに及んだ。
そのとき、アルバイト先の奥さんがケーキを私に差し出しながら、こう言った。
『落語研究会って一体何の研究をするんでしょうね ?』
私は言葉に窮した。落語の研究 ?!
下町育ちの奥さんにとって、『落語『と『研究』とは水と油のように全く疎遠な存在であり、それが結びつくこということ自体が理解できなかったらしい。
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これも随分昔のことになるが、暑い夏の午後だったと思う。
私は裸で寝ながらラジオを聞いていた。
三遊亭円生(六代目)の落語を放送するというので聞いたのだった。
先に書いたように私は落語が特に好きというわけではなかったが、この円生の噺は好きだった。
少し甲高い声で歯切れの良い江戸弁は聞いていて快かったからだ。
(この点、芥川龍之介の短編を私が好むことと通じている)
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『鼠穴』という噺だった。
私は初めて聞く噺だから勿論、映画で言うネタバレは知らなかった。
大変面白い噺で最後のドンデン返しには (少し大げさに言えば) 感銘を受けた。
落語という噺の面白さを痛感させられたものだった。その痛快さは今でも鮮やかに覚えている。
試しにユツベで検索したら出てきた。便利な世の中になったものだ。約40分のものだが、興味ある人は聞いてみたらよい。本物の一端に触れられるだろう。
https://www.youtube.com/watch?v=MEhVVwqr9Xo
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落語といえば先代の林屋三平は面白かった。
例の『よしこさ~ん』。
ある意味でデタラメのおかしさである。バカバカしさのおかしさである。ともかく愉快なのである。
時代の潮流に乗った人ではあるが、それだけではないモノがこの人にはあった。
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先代の林屋正蔵も私は好きだった。
三平とは全く芸風が違ったが、この人のアノの独特の声 。
なんと表現したらよいか知る人ぞ知るだが、この声を、よく先代の林屋木久蔵がマネして笑わしてくれたものだった。
この先代の林屋正蔵 (今の彦六かな ?) の噺も味があってよかった。