この『いっちゃん』は、メス猫だったので、例の動物病院で避妊の手術を受けせた。
此の小猫は何の異常もなく育っていき、現在も我が家にいる。私共、夫婦と同居した猫は結構、多くいたのだが、この『いっちゃん』ほど、温和な猫は他に居ない。ちょっと此の猫に、私共夫婦が近づいただけでも、ノドをゴロゴロさせた。まぁ、普通の猫なら、そうだろうが、私の経験から言うと、その温和さときたら並み以上だった。
ただ、極端に『人みしり』する猫で、誰か他人が自宅へ来ると、サッと姿を消した。
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この『いっちゃん』は以前にも書いたように家内と、我が家の一階に常に同居していたので、特に家内に、なついていた。家内が買いもの等で出かけて帰ると、それを直ぐに察知して、玄関、乃至、庭で、必ず「おでむかえ」するのである。すると家内は必ず、『あ~ら、いっちゃん、ありがと』と言うのである。こういうことは、『いっちゃん』に限らず
普通の猫なら、どの猫も、する行為だろう。
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この『いっちゃん』が行った珍しい行為がある。
我が家には犬が同居していた。犬も私は三匹飼った経験があるが、最後に飼った犬は柴犬で・・・この犬も捨てられていたのを引きとったのだが・・・、実に、よく吠える犬だった。
私が『いっちゃん』と出会ったとき連れていた犬も此の犬だったのだが、『いっちゃん』は此の犬と仲良しになった。この犬が病死するまで、約数年間は、『いっちゃん』は此の柴犬と庭で一緒に遊んでいたものだ。
此の犬は、我が家を訪れた人や、我が家の傍を通る人に対して、盛んに吠えまくった。或る人は『番犬には、もってこいだね』と評したものだった。
『いっちゃん』は、幼い頃から、この仲良しの柴犬の吠えまくる声を聞き慣れていた。
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家内が風呂に入っているときは、『いっちゃん』は其の風呂場で、家内の傍で、必ず「かしづていた」。
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あれは、『いっちゃん』の仲良しの犬が病死した後のことだったと思う。
或るとき、家内が風呂に入っていると、来客があった。そしたら、『いっちゃん』は逃げるどころか、「わんわん」と言って来客者の方へ駆けていった。
家内が、そのとき言った。『あれぇ、たしか、わんわん、言ったね ?!』。
私は、たまたま、その場の近くに居たので、私も、確かに、「わんわん」と聞いた気がする。
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この話を他の人にしても誰も信用しない。猫が、わんわん、と言うわけがないじゃないか、と。しかし、そのとき、『いっちゃん』は、仲良しだった柴犬を思わず思い出し、思わず、わんわん、と言ってしまったのだろう。このテの話は、たぶん、多くあるだろう。しかし、その後、『いっちゃん』が二度と、わんわん、と言うことはなかった。
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『いっちゃん』が我が家に来てから何年になるだろう。ざっと計算してみると、十年は過ぎている。猫としては長寿だろうが未だ元気である。家内は、老猫用のキャッツ・フードを、せっせと、『いっちゃん』に食わせている。
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ちなみに『モノ思いにふける「いっちゃん」』の写真を添付しておこう。
