『池水は濁りににごり藤波の影もうつらず雨降りしきる』(伊藤佐千夫)
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少し季節外れの話題だが、私の好きな歌の一つである。
ところで『影もうつらず』を『影もうつさず』にしたほうが、私としては自分の好みにあう。
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『影もうつらず』だと、純然たる自然描写に見えると思うが、どうだろうか、
尤も、作者は、それを描写したかったのかも知れない。
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『影もうつさず』だと、純然たる自然描写を超えて、或る『感情』が歌の表面に顕(あら)われるてくるように私には感ぜられる。
その『感情』とは『鬱々たる心情』であって、その心情が直截に、読者たる私に訴えてくる。そして私は直截に其の感情に共感できる。
だから『影もうつさず』のほうが、私は、より強く此の歌に共感できる。
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太宰治が自殺するとき、この歌を書き置きしたそうだが、その気持ちは私なりに理解できる。
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上記したことは歌の素人の独断である。