以下は鴎外の有名な作品である。
-------------------------
褐色(かちいろ)の根府川石に
白き花はたと落ちたり、
ありとしも青葉がくれに
見えざりしさらの木の花
------------------------
芥川龍之介は、『文芸的な、余りに文芸的な』の中の『十三 森先生』で以下のように書いている。森先生とは森鴎外のことである。
-----------------------
先生の短歌や発句は何か微妙なものを失っている。(以下略)
-----------------------
果たして、そうだろうか。『微妙なもの』とは何か。所詮、芥川の主観に過ぎないではないか。
もし、そうだとすれば、芥川の上の言は鴎外に失礼ではないか。
失礼が語弊なら批評と言い換えてもよい。
***
私は上の鴎外の作品・・・それを短歌と呼ぼうが何と呼ぼうが此処では問題ではない・・・に『微妙なもの』を感ずる者の一人である。
たとえ其れが畢竟私の主観であったにせよ。